1.新入生へのお祝いの言葉
— 入学おめでとう
— 日本では入学は4月
— 日本も中国も受験競争が厳しい
— Sir Winston Churchill,
— “Now this is not the end. It is not even the beginning of the end. But it is, perhaps, the end of the beginning.” Speech in November, 1942
— 第2次世界大戦 それまで負け続けていた連合軍がアフリカ戦線のエル・アラメインの戦いでロンメルを破った時の議会での演説の有名な言葉
— 諸君の今後の大学生活に向けて贈る言葉
2.法制度、法学(教育)の異同
— 比較法という学問領域
— 英米法系 大陸法系 イスラム法系 社会主義法系
— 歴史的には日本の法制度は中国の影響を受けた(遣唐使:唐の制度、文化、宗教⇒それを日本が独自の制度に変革)
— 第2次世界大戦前はドイツ・フランスの大陸法を継受、戦後は英米法を継受
— 中国法の影響は1868年の明治維新で基本的には途絶え、ものの考え方、慣習法の一部に影響残存
— 中国自身も第2次大戦後、中華人民共和国となり、社会主義法を前提とする法制度を持つ国に大きく変化
— しかし、近年、社会主義市場経済へ移行
— 自由主義と社会主義の中間的法制度
— 法制度について従来より差は小さくなりつつある
— ⇒法制度の接近⇒法律家の役割の接近⇒法学教育の接近
— 今日は両国の法学教育に近似性があるという前提で日本の法学教育の目的を紹介⇒中国も多分同じ
3.日本の法学教育
— 法学部と法科大学院
— 法学部卒業生の90%以上は非法曹
— 10%未満の者が法曹志望で法科大学院へ
— 中国も同じような状況と認識
— 法曹志望者であれ、非法曹志望者であれ、法学を学ぶ目的は共通
— ⇒Legal Mind の修得
4.Legal Mindとは何か
— 法律家独特のものの考え方
— 裁判規範としての法の機能に由来
— 裁判の基本構造:原告、被告、裁判官
— 法律家の仕事は?
— 原告、あるいは被告の代理人
— ないしは裁判官として紛争解決
— 法律家は一人の人格の中に常に3人の異なる人格を保ちながら世界を見ている
⇒原告として裁判官を説得しようとする自分、
被告として裁判官を説得しようとする自分、
両方の主張を公正に聞き、判断を下す裁判官としての自分
⇒あらゆる事柄について、このような思考をなしうる人格を形成することが法学教育の目的
5.どのようにしてLegal Mind を習得するか
— 3つの理解を深めること
⇒人間の理解、言葉の理解、法の理解
— 人間の理解
— 人が何に喜び、何に悲しみ、何を憎むか、どのように感情に押し流され、どのようにそれを克服するか、観察と経験、人間に対する好奇心と理解することの重要さの認識
— 言葉の力の理解
— 法律家の言葉は時に人の生命、財産をも奪いうる、詩人よりも、文学者よりも言葉の持つ力に敏感であるべき
— 法の理解
— 法の概念、構造、体系についての深い理解と論理的な思考の修得
— いずれにしても容易な道ではないが、やりがいのある道
— 法は最強の格闘技。良き法律家を目指して、同時に良き隣人であることを目指して、大いなる努力を!
— 学ぶにあたり素直であることの重要性
⇒先生の言うことをまず素直に深く理解。それの積み重ねと自己内部での3人の人格形成の努力が、おのずと鋭い批判力を養う。
作者:来生新,原日本国立横滨大学副校长 ,现日本国放送大学教授,昆明理工大学客座教授
文章来源:日本经济法学家来生教授给法学院新生的致辞